目次
「ファウンダー」の概要
「ファウンダー」はどんな映画?
52歳のミルクシェイクマシン営業マンが、世界一のハンバーガーチェーンを築くまでの、表と影のリアルを描いた物語
「ファウンダー」のあらすじ
52歳のレイ・クロックはいつものように営業トークを展開し、売り上げの芳しくないミルクシェイクマシンを売り歩いていた。
そんな中、8台のマシンを購入したいという注文が入る。
突然の大きな注文に興味を抱いたレイは、直接現地の店を訪れる。
そこでレイが目にしたのは、最大まで無駄を省いたいて効率化されたシステムとメニューで顧客の心を掴み、連日行列を作るほどの人気を呼ぶ「マクドナルド」というハンバーガーショップだった。
「マクドナルド」に惚れ込んだレイは、そのままの勢いで経営者のマックとディック兄弟に、フランチャイズの話を持ちかける。
そして、レイの情熱に根負けし、ついに兄弟はレイと契約を結ぶ。
その後、紆余曲折ありながらも、順調にフランチャイズ展開を広げるレイ。
しかし、事業が大きくなるにつれ、資金面での問題なども発生し、兄弟との経営方針の違いから、徐々に関係は悪化していくのであった。
「ファウンダー」の評価
- ストーリー:
- テンポのよさ:
- 登場人物の魅力:
- テーマの伝え方:
- ビジネスのリアル:
〜〜以下ネタバレを含みます〜〜
「ファウンダー」のポイント
- マクドナルドの誕生の裏側
- キレイ事だけではないビジネスのリアル
- 色々盛り込み過ぎて、ストーリーの繋がりが薄いシーンも
マクドナルドの誕生の裏側
現在、世界中に展開し、人類の共通フードと言っても過言ではないほどの認知度を誇る「マクドナルド」。
「ファウンダー」では、「マクドナルド」がいかにして現在の成功を収めたのか、その誕生譚を忠実に再現している。
本作品を見れば、「マクドナルド」が不動産ビジネスと言われる由縁や、実は創業者はレイ・クロックではないという話の真相を知ることができる。
また、ビジネス的な視点から見ても、レイ・クロックのビジネス的センスや強引さ、非情さをシリ、学ぶことのできる作品となっている。
キレイ事だけではないビジネスのリアル
「ファウンダー」では、どんな手段を使っても目的を達成し、成り上がっていくレイと、最初の信念を貫いたが故に敗者になっていくディックとマックの兄弟が対照的に描かれている。
作り方によっては、レイのアメリカンドリームの実現という華々しいストーリーとして映画にすることもできたと思うが、この作品は、「マクドナルドやレイ・クロックの成功秘話が華々しく語られる物語!」にはなっていない。
この作品を最後まで見終わっても、レイ・クロックという人間を心から好きになれるかどうかは微妙なところだ。むしろ、視聴者としては、どちらかと言えばディックとマックの兄弟に同情してしまうのではないだろうか。
成功の影には好意的に見えない出来事もあるのだという、リアルなビジネスの非情さを思い知らされる。
ただ、この影の面を取り上げることで、レイの執念の強さをより強く印象付けている。そして、その執念がなければ、今のような他に類を見ないマクドナルドの成功はなし得なかったのだということを実感させられる作品になっている。
色々盛り込み過ぎて、ストーリーの繋がりが薄いシーンも
「ファウンダー」は、マクドナルドの成功につながる物語が盛り沢山で詰め込まれている。しかし、映画という性質上、時間の上限はあるので、少し窮屈になっている箇所や、間のストーリーが大幅に省かれている箇所もある。
妻との離婚はなんとなくの流れはあったが唐突に切り出され、新しい奥さんとの結婚も伏線は張ってあるが、結局最後の方で知ることになる。
恋愛系の映画ではないので、物語の中でサブ的に扱われるのは分かるが、唐突に展開が進むので、省くかもう少し描くかにしてもいい気もしてしまう。
しかし、大筋の物語に大きく影響を与えるほど気になるわけではないので、映画自体は十分に楽しむことができるのが、この映画が評価の高い由縁なのであろう。
「ファウンダー」の一押しポイント
「ファウンダー」のイチオシのシーンは映画の終盤のレイ(マイケル・キートン)の語りである。
ここで、この映画のテーマである「執念(※)」というキーワードが初めて登場する。
そして、この語りに続いて、その後の主要人物のエピローグや、レイ・クロック本人の映像で彼の言葉が伝えられる。
この、最後にテーマを伝え、実際の映像でよりリアルさを印象付ける演出は、本作品を「単純な印象の悪いヒューマンドラマ」という印象から、「ビジネスのリアルを描き「成功」とは何かを考えさせられる作品」という印象に昇華する効果を担っていると感じる。
そのために、終盤まで「執念」という言葉を使わずに、なんとなくテーマの雰囲気を出しつつ、最後でテーマをバッと出し、納得感を与えられるのは、作り手の演出の妙である。
※予告編の字幕では「根気」と訳されている。原文は「persistence」。
- ジャンル:ドラマ
- 時間:115分
- 公開年:2017年
- 監督:ジョン・リー・ハンコック
- 脚本:ロバート・シーゲル
- 主要キャスト:マイケル・キートン
- 配給会社:ワインスタイン・カンパニー